2021-07-16 投稿

農林水産省の「みどりの食料戦略システム」について

農水省が策定した「みどりの食料戦略システム」戦略についての記事を読み、零細農家の立場からの感想を書いていきます。

農業協同組合新聞より

農水省の「みどりの食料システム戦略」についてのJAの記事を見つけました。

2050年 有機農業100万haを目標-みどりの食料システム戦略 中間まとめ

「みどりの食料システム戦略」農業の生産性向上と持続を技術革新で実現するというものです。

2050年の目標について掲げられており、大まかなトピックとしては「有機栽培」「技術革新」の2つのようでした。

有機栽培の拡大

化学肥料の利用を減らし、品種改良や低リスク農薬の開発によって有機栽培を普及させようというもののようです。

しかし、現状では多くの場合、化学肥料や農薬をほとんど使わずに作物を育てることは困難だと思われます。 除草剤を使わなければ広大な面積の雑草を取り除かなければなりませんし、病気のリスクも増加します。安定して供給するためには農薬の使用は必要です。

後継がおらず慢性的な人手不足のなかで、化学肥料や農薬の使用を減らすだけの動機づけはなかなか得られにくいと思います。

農水省の目標には「2040年までに、主要な品目について農業者の多くが取り組むことができる次世代農業技術を確立」ともあります。 普及させるためには、政府やJAなどの団体から農業者に対しての積極的な働きかけが必要だと思われます。

技術革新

ハイテクに対する期待は大きいようで、「AI」「ドローン」といった単語も見られます。 確かに、農業の課題をITで解決するサービスは近年さまざま出てきています。

しかし零細農家の場合はその設備やサービスを導入することも簡単ではありません。 トラクターやコンバインなどの農機がそもそも高いうえに、さらにハイテクロボットなどを導入したところでコストがかさみ赤字になる一方です。 個人単位でそういったものを導入することは難しいのではないでしょうか。

公的な仕組みとしてハイテク農機などを貸し出し、補助金を出す、講習会を行うなどの制度が必要かと思われます。

所感

国の方針として「化学肥料ゼロ」「CO2削減」などは解決したいところでしょうが、農業者の立場としては現状夢物語に感じられます。 そもそも農作はコストがかかるわりに儲けにくく、離農者が増えつづけ人手不足な状況で、稼ぐための職業として魅力的には感じづらいです。 そういったイメージを払拭させるような施策が必要だと思われます。

消費者目線でも有機野菜などは価格が高いので、なかなか受け入れられないでしょう。 持続可能性と有機栽培の両立はなかなか難しい課題と思われます。