農業法人についてのまとめ
農業法人の定義と、農事組合法人、農地所有適格法人についてのまとめ
農業法人
農業を営む法人の総称で、株式会社等の会社(会社法)と、農事組合法人(農協法)に大別される。
農地法に定める一定の要件を満たすと、「農地所有適格法人」として農地を所有することが可能になる。
- 農業法人…土地利用型農業、園芸、畜産など農業を行う法人の総称
- 農事組合法人…農民が生産の協業を図る法人で、事業は農業に限られる
- 農地所有適格法人…
農事組合法人
農業共同組合法(第72条の32)に基づき設立
設立方法
1. 基本事項の検討
定款の作成(事業の目的、業務内容、規模等)
設立にかかる同意書の要求
発起人会(創立総会)の開催準備など
2. 発起人会(創立総会)の開催
定款の作成
役員の選任
役員報酬限度額等の設定
などを決議し、発起人から理事への設立時部の引き渡しを行う
3. 組合員による出資の払込み
4. 設立の登記申請
第1回目払い込みがあった日から2週間以内に登記
5. 行政庁への届出
設立の登記の日から2週間以内に行政庁へ届出
農事組合法人から株式会社への移行
農事組合法人の業務は農業の経営、共同利用施設の設置のみに限られる
- 農業を営みつつ、事業の多角化を図りたい
- 共同組織に由来する員外利用制限が事業展開に支障があるなどから、制限のない法人類型を検討している
上記のようなケースで、農事組合法人を解散し新たな法人を設立する場合に、
- 解散により、組合員の関係が一度完全に切れてしまう
- 解散・設立手続きが煩雑で、一時的に事業を停止せざるを得ない
- 精算にかかる課税
このような障害をなくすために、農事組合法人を解散することなく株式会社への移行ができるような制度
手続きの流れ
1. 理事会の開催
総会開催を決定
2. 総会招集の通知
総会の2週間前までに通知
会議の目的である事項と組織変更計画の要領について通知
3. 総会
組織変更計画の承認
総組合員の2/3以上の多数による決議
※組織変更に反対の意思表示をした組合員は、持分払戻を請求できる
(組織変更の議決の日から20日以内に書面による)
4. 株式会社に組織変更
組織変更計画で定めた組織変更の効力発生日に株式会社となる
5. 登記
農事組合法人解散の登記・株式会社設立の登記 効力が生じた日から2週間以内
6. 組織変更の届出
遅滞なく行う
ex.組織変更無効の訴えの提起
組織変更効力発生の日から6ヶ月以内
7. 組織変更事項を記載した書面の備置き等
組織変更効力発生の日から6ヶ月以内
農地所有適格法人
(参考)個人が農業に参入する場合の要件
- 農地のすべてを効率的に利用すること…機械や労働力を適切に利用するための営農計画を持っている
- 必要な農作業に常時従事すること…必要な農作業に常時従事(原則年間150日以上)すること
- 周辺の農地利用に支障がないこと…水利調整に参加する、無農薬栽培の取り組み地域で農薬を使用しない
農地所有適格法人(農地を所有できる法人)
- 個人が農業に参入する場合の要件を満たすこと
- 法人形態は、株式会社(公開会社でない)、農事組合法人、持分会社、合名会社、合資会社、合同会社
- 主たる事業が農業(自ら生産した農産物の加工・販売等の関連事業を含む)売上高の過半
(関連事業…製造・加工、貯蔵・運搬・販売、資材の製造、農村滞在施設の運営等) - 農業関係者が総議決権の過半を占めること
(農業関係者…法人の行う農業に常時従事する個人、農地の権利を提供した個人、農地中間管理機構または農地利用集積円滑化団体を通じて法人に農地を貸し付けている個人、基幹的な農作業を委託している個人、地方公共団体、農地中間管理機構、農業協同組合、農業協同組合連合会) - 役員の過半が、農業に常時従事する構成員であること
- 役員又は重要な使用人が1人以上農作業に従事すること
一般法人(農地を借りる場合)
- 個人が農業に参入する場合の要件を満たすこと
- 賃貸契約に解除条件が付されていること
- 地域による適切な役割分担(集落の話し合い、農道や水路の維持活動)のもとに農業を行うこと
- 業務執行役員又は重要な使用人が1人以上農業(マーケティング・経営・企画等を含む)に常時従事すること
企業が農地を借りるには
別記事に記載
企業の農業参入と法人経営のメリット