「こぼれ球を拾う」メンバーを後ろから支えるリーダーシップ
リーダーシップとは何なのか
仕事ではよくリーダーシップが求められるが、その言葉が指す内容はやや曖昧だと思う。 あらためて意味を調べてみる。
リーダーシップの意味
指導者の地位・任務。「―をとる」。指導者としての素養・力量・統率力。
指導者というとなかなか仰々しい。今ひとつ何のことを指すのかわかりづらい。 そこで、リーダーシップが求められる局面を具体的にすることでイメージを湧きやすくする。
リーダーシップが求められるシーン
それが求められるシーンを想像することで、リーダーシップが何を指すのかがわかってくる。
メンバーをまとめる
仕事では複数のメンバーが集まって業務を行う。 それぞれがバラバラなことをしていると、成果を出すことは難しい。 メンバーそれぞれの状況を把握し、コミュニケーションを取りながら定められた目標を達成できるようにしなければならない。
決断を下す
仕事では多くの選択をしなければならない。何を選び、何を捨てるかの選択は毎日のように起こる。 特に大きな選択をしなければならない局面では、失敗すると大きな損失が出るリスクもある。 そういった局面でどの選択をすべきかを状況を総合的に考慮して決断を下さなければならない。
目標を達成する
仕事には達成すべき目標がある。目標の中には実現が困難なこともたくさんある。 そのような状況の中でも実現する方法を見極め、メンバーを取りまとめながら辛抱強く行動し続ける必要がある。 現状を把握しつつも先を見通し、アクシデントに遭遇しても諦めないメンタリティが必要である。
2つのリーダーシップ
個人的には、リーダーシップを発揮するスタンスは2つあると思う。前から引っ張るリーダーシップと、後ろから支えるリーダーシップだ。
前から引っ張る
いわゆる「オレについて来い」リーダーである。旧時代的なリーダー像はこちらである。 チームの顔として君臨し、メンバーの先頭に立ち道を切り開く。主張もするが面倒も見る。メンバーが間違ったことをしようとしていたら諭す。
メリットとしては力強く統率・管理するので目標達成を実現しやすい。 デメリットとしてはメンバーからの反発を招く可能性がある。
そういったスタンスがうまくはまる人もいると思う。 しかし、個人を尊重されて育ってきた今の若い世代には、響かない可能性もあるのではないか。
後ろから支える
現代的なリーダーシップだと思う。サーバントリーダーシップという言葉もあるが、 的確な指示よりもメンバーが主体的にやろうとしていることをサポートする。状況を観察し、メンバーの取りこぼしがあれば、 後ろからこぼれ球を拾う。
メリットとしてはメンバーの仕事に対する満足度が高くなる。 デメリットとしては目標達成の形が見えづらいことがある。
その人なりの工夫や行動は仕事のモチベーションにつながる。指導によってそれを挫くのではなく、 逆にうまく促進し誘導することによってチーム全体の目標達成を目指す。
目標は常に把握しつつも、強要しない
今の時代は、後者のリーダーシップの取り方が適合すると思う。 メンバーにはそれぞれの考え方があって、その時々で正しいと考えたことをする。 それをうまく採用することで、全員がチームに対する満足を得られるのではないか。
リーダーの「正義」を示す
正義は人の数だけあると思っている。絶対的な正義というのはない。 それをよく認識した上で、ではこの状況では何が正しいのかを、リーダーは示す必要があると思う。 メンバーそれぞれも自身の正義を持っている。それを挫くのではなく考慮に入れる。 仕事で決断は常に求められる。そういった時にどういった正義でどういった行動を起こすのか、その時にリーダーシップの真価が問われる。
最後に、昔読んだ漫画の中で私の好きだったセリフを書いておく。 リーダーである彼の正義からのアドバイスだが、初めて見た時から10年以上もずっと心に残り続けている言葉である。
『上に立つ者は 下の者の気持ちは汲んでも 顔色はうかがったらあかん 好きなようにやったらええ それで誰もついて来えへんかったら 器やなかったちゅうだけの話や』 (BLEACH - 平子真子の台詞)