2022-08-11 投稿

10年後にメタバースをとりまく環境はどう変化するか

メタバースは流行る?流行らない?

先月、Meta Quest2を購入した。 スタンドアロンで起動できて性能の割に低価格なため、メタバースの勉強として良さそうだと感じたからだ。

早速起動してみたが、チュートリアルのユーザー体験はさすがのメガIT企業、洗練されている。 新しい体験を提供してくれるという期待感を持たせてくれる。

ネットの反応を見ていると、日本ではVR機器は流行らないだろうという意見が多かった。 メタバースは時期尚早だ、オワコンなどという主張も多く見られる。

一方で企業などビジネスサイドではイベントや会社説明会などに積極的にメタバースを取り入れ、 まだ模索している段階だが流行の兆しが見えなくもない。

行き急ぐMetaと「助長」の逸話

MetaはVR端末を低価格に設定し一気に普及を図った。 その背後にはFacebookの広告規制による売上低下の焦りが見えなくもない。

昔漢文の授業で習ったが、中国に「助長」の故事成語がある。 村人が畑の苗がなかなか育たないからと「引っ張ってあげた」のだが、無理やり引き上げてしまったため苗はすぐに枯れてしまった、という話である。

Metaのメタバースに対するそれは「助長」のそれに感じた。 先行的に膨大な投資をしているが、直近の四半期決算ではメタバース事業で大きな赤字を出している。

メタバースのような仮想現実世界は10年後より発展することはほぼ間違いないと感じる。 しかしそこに至るまでにあたっては、最先端の大企業であっても数えきれない試行錯誤が必要なのだろうと思う。

メタバースの特徴と役立ちそうな分野

メタバースで異世界体験をしても腹は減る。トイレにも行かなくてはならない。 そういう意味で、生活の全てをメタバースに置き換えることは不可能である。 それでも、メタバースが得意とする分野では、大いにその能力を発揮できると感じている。

  • 物理的制約がない
  • 実際の損失がない
  • 視界を共有できる

物理的制約がない

海外の風景や音声を共有することで仮想的な旅行ができる。 その場に体を持っていかなくても体験ができる。 ただし、インターネットの体験を拡張したようなものでそれほど驚きはない。

博物館の展示や施設の見学・研修などには有効に働くと思える。 振り子時計が動く仕組みやビール工場の見学だったり、使い方によってはその一部を体験できる。 ただし、物理的なものをVR空間上で的確に表現する難しさはある。

実際の損失がない

事故、災害、破産などがVR空間上で起こっても現実での損失はない。 危険を伴う行為を安全にテストすることができる。

火事の避難訓練、自動車教習所の実践的な座学などに使える可能性がある。

視界を共有できる

リアルタイム性を求められる仕事では視界を共有できる機能は役立つと思う。 例えば建設現場で別の人の視界を共有してもらうことで効率的に作業を進められるかもしれない。

またスポーツでのマンツーマンレッスンで、視点動作や動きをするかなど一人称視点で共有することで 得られる知見や情報があるかもしれない。

10年後、VR(AR)はもっと身近になる

今より間違いなく安くなる

半導体の価格は低下している。 10年前、USBメモリの価格は1GBで1万円近くしたと思われるが、今や同じ値段で256GBのものが買える。

時が流れ技術が進歩するに従って単位当たりの価格は下がり、VR機器も高性能で低価格なものが出てくるだろう。

また、現状でVRで体験できるものは視覚と聴覚だけだが、触覚や嗅覚や味覚に対応したデバイスも出てくるだろう。

目の付けどころ

インターネットやWebページがビジネスの道具として当たり前のように使われる時代になった。 20年前は想像もできなかったが、スマートフォンはこの10年で生活必需品となっている。 利用する人が増えれば、それだけビジネスチャンスも増える。VR端末もそのようになる可能性が高い。

私がインターネットを使い始めたのはそこに魅力的なコンテンツがたくさんあったからだ。 おもしろFlashアニメ、オンラインゲーム、ショッピングサイト、ティザーサイト。 個人のクリエーターや起業家が、夢中になってモノづくりをしたその先にVRの繁栄があると思う。