個人事業主と経営者の大きな違い
ある大きな違い
経営の規模とか、課税の形態とか、そういう話ではなく。
個人事業主と経営者の明確な違い。それは、
「誰かにお金を稼がせる」という意識があるかどうかである。
「経営とは誰かを食わすことと見つけたり」…?
たとえば、自分が個人事業主の場合に、ちょっと大きい仕事の相談が入ってきたとする。 すでに仕事を抱えており、それを受けるにはキャパシティに限界がある。
結果、断ってしまう。
仕事を全うできずに迷惑をかけるくらいなら、最初から断る。
このスタンスは至極まっとうである。だが、そこで終わってしまうのである。
では経営者はどうか?
同様に大きい仕事の相談が入ってきたら、
誰かに任せられないか考える。
そして、よほど現実的に無理なものなければ、受けてしまうのだ。 完全に無理だとしても、どうやったら部分的にでも要望を満たせるか考えて、提案する。
そして仕事を受けてしまってから、その仕事を遂行する必要に人材や資源を確保するのである。
経営者には、自分がもらい受けたその先にも渡す相手がある
個人事業主的(とくに職人的)な発想では、
自分には時間や余裕がないなら、対応することはできない。
と考える。
しかし、経営者の場合は、
自分に時間や余裕がなければ、誰かできる人に任せればいい。
と発想する。
1万円の仕事に対する捉え方も異なる。
その案件をこなすことで
「会社に◯◯万円の売り上げをあげることができる」
のはそうなのだが、同時に
「誰かに◯◯万円のうちの何割かをあげることができる」
と考える。
外注費や労務費は、原材料費や加工費などと同じで、コストである。
コストとは、すなわちお金を渡すこと。相手が稼ぐということなのである。
個人事業主には、この発想はなかなか持てない。
自分が小遣い欲しいだけなら、自分が持てる範囲の能力や時間を売れば済む話だが、 経営をしたいのだったら、そういったことを考えていく必要がある。
経営という仕事は、「あいだに立つ」というポジション取りである
個人事業も、会社経営も、どんな形であれ社会の役に立っていることには変わりないのだが、
そのポジション取りが違う。
自分にできないことは断るのが個人事業や職人の流儀だが、 自分にできないことも喜んで受け取り、それを誰かにこなしてもらってうまく仕事とお金を流すのが経営者の流儀である。
自分が終点の価値提供者=報酬受取者なのではなく、その先にお金を流すという視点が、経営においては大切になってくる。
ある意味、需要者同士の橋渡しをすることができれば経営は成り立つと言っても良い。
友達の副業案件をとってきて、三方よしの経営
個人事業思考から経営者思考への発想転換の訓練としてちょうどいいのは、
ちょっとお金を稼ぎたい・副業してみたいという友達のために、
適度な仕事をとってきて仕事を分配することである。
それができれば、もはや立派な経営である。
仕事をくれた人、自分、そして友達の全員が嬉しい気持ちになれる。
ちなみに、小さい子向けに経営的案素養をつけさせるなら、
「お小遣いほしい友達」のために、仕事を与えてあげる
というのが効果的な気がする。
「付加価値を生む」よりも「雇用を生む」
特にスタートアップ企業においては、どうやって付加価値を生むか、差別化するかということはよく考えられると思うが、 「どうやって雇用を生むか(任せられる仕事を用意するか)」という意識は希薄な気がする。
「どうすれば、これから雇う人が稼ぐことができるのか」という切り口でに考えてみるのも良いかもしれない。