点を結ぶ

Apple創業者スティーブ・ジョブズ氏のスピーチ（和訳）をあらためて読んだ。

「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズ氏スピーチ全訳

あまりにも有名なスピーチだが、しっかりと全文を読んだことはなかった。 平易な言葉ですぐに読める内容ながら、深く感銘を受ける言葉がちりばめられていた。 特に印象に残ったフレーズをいくつか引用する。

Again, you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards.

「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。」

このフレーズは道半ばで立ち止まった時に勇気を与えてくれる。 こんなことをやって何の意味があるのか？などと考えてしまったときも、 それでも何かを追求することの意味が後になってわかってくるかもしれないと感じさせてくれる。

So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something ― your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.

「だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。 運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。 私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。」

ジョブズ氏が「信じる（trust）」と言う言葉を用いたこたことが印象的だった。 自分がやっていることが正しいことかはわからない。道なき道を進んでいるならなおさら不安にさいなまれるだろう。 「後悔したことはない」という境地に至ったことからも、その人生に迷いはたくさんあっただろうということが読み取れる。 ただ、それが正しいということ、そしていつか点と点が結ばれると信じ続けるしかないと伝えている。

the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven't found it yet, keep looking. Don't settle. As with all matters of the heart, you'll know when you find it.

「やりがいを感じることができるただ一つの方法は、すばらしい仕事だと心底思えることをやることです。 そして偉大なことをやり抜くただ一つの道は、仕事を愛することでしょう。好きなことがまだ見つからないなら、探し続けてください。 決して立ち止まってはいけない。本当にやりたいことが見つかった時には、不思議と自分でもすぐに分かるはずです。」

日々を漫然と過ごすのではなく、自分が心から求める生き様に対して追求し続けることの大切さと、その素晴らしさを教えてくれる。

If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?" And whenever the answer has been "No" for too many days in a row, I know I need to change something.

「「もし今日が最後の日だとしても、今からやろうとしていたことをするだろうか」と。 「違う」という答えが何日も続くようなら、ちょっと生き方を見直せということです。」

毎日、これが自分の人生ではないと感じるなら生き方を考え直したほうがいいというアドバイスは、実践的で役に立ちそうだ。

Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma ― which is living with the results of other people's thinking.

「だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマにとらわれてはいけない。それは他人の考えに従って生きることと同じです。」

この社会では、意図的にでも、無意識にでも、誰かや他の何かの考えに染められてしまう。政治、宗教、教育、自己啓発。あるいや親族や同僚の意見など。 ネガティブなことも過激な思想も巷には溢れている。若ければ何かの考え方に影響を受けるのは間違いがない。 それにどっぷり浸かってしまっては、本意ではない生き方に殺されてしまうということだ。

「宙船」という歌にも「おまえが消えて喜ぶ者にお前のオールを任せるな」という歌詞があるが、 ただ従順に従うだけではなく、批判的なものの見方もして、自分を組み立てていくことがとても重要だと改めて感じさせられた。